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記憶の破線

それはやさしい
それはかなしい
そこにあるようで
そこになく
そっとよるのさきっぽにふれて
てのひらにはりでさしたような
ちいさないたみをのこして
きえてゆく

それはやさしい
それはかなしい
そこにあるようで
そこになく
てにふれようとしたしゅんかん
あなたのきずぐちをそっとひっかいて 
よるのさきへときえてゆく

それはやさしい
それはかなしい
そこにあるようで
そこになく
ことばのようにかたちなく
なみだのようにそらをおよいで
まちあかりをゆらぐ

それはやさしい
それはかなしい
そこにあるようで
そこになく
ただあおいひかりのおとだけが
いくつものきおくのかさなりのなかに
くりかえされる

それはやさしい
それはかなしい

そしてそれは
とてもしずかで
じつは
とてもはげしい
テーマ : 詩・ことば
ジャンル : 小説・文学

Tag:散文・物語  comment:0 

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Akira.K/Artsite diary

Akira Kawashima

Author:Akira Kawashima
 

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