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その本

その本には、猫と過ごしたことのある人ならばわかる、きまぐれと嬉々と陽だまりと悲しい別れが記されていて、過ごした日々の記憶に重なりあった名前がぼんやりと浮かび上がる。ちょうど物語の終わりに差し掛かったとき、彼は肉球の柔らかな感触が足先を撫でていることに気づいた。死はいつも無口、生者はそれに饒舌な意味を与える。




テーマ : 詩・ことば
ジャンル : 小説・文学

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Akira.K/Artsite diary

Akira Kawashima

Author:Akira Kawashima
 

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